熱エネルギーを長時間貯蔵し、自由に放出できる材料
概要
個体-個体相転移(λ-Ti3O5 - β-Ti3O3)を利用した蓄熱材料は、230kJ/Lの大きな潜熱を達成。加えて、貯蔵した熱エネルギーは長期保存可能であり、外部圧力によって自由に放出できる。
(※潜熱を利用した蓄熱材料の代表例:水-氷)
従来の課題
・潜熱を利用した蓄熱材料は、周囲温度が下がれば熱が徐々に逃げてしまうため、エネルギーを長時間貯蔵できない
・個体-個体の相転移は、(個体-液体の相転移に対して)液体がこぼれないメリットがあるものの、潜熱が比較的小さいというデメリットがある
新規性
・蓄えられた熱エネルギーは、周囲温度が低下しても保存される
・外部圧力によって熱エネルギーを自由に放出できる
・個体-個体相転移では非常に大きな潜熱230kJ/Lを達成
キー技術
・熱、光、電流によって相転移(β-Ti3O5 → λ-Ti3O5)し、エネルギーが保存される
・加圧によって相転移(λ-Ti3O5 → β-Ti3O5)し、エネルギーが放出される
メモ・疑問
・熱エネルギーを長期間保存できるとのことだが、具体的にどの程度の期間なのか?
(数日?数ヶ月?半永久的?)
・周囲温度が低下しても、蓄えられた熱エネルギーが放出されないメカニズムがよくわからない。(メカニズムについての仮説が記載されていたものの、私には理解できず。)
【論文】室温下で自己修復する高分子ポリマーの開発
概要
チオウレアとポリエチレングリコールを組み合わせた高分子ポリマーが、室温下で自己修復機能を発揮した。
従来の課題
・従来の自己修復ポリマーでは、「修復能力」と「強固さ」が両立できなかった。
・高分子では、強固である一方、分子鎖が室温でほとんど流動しないため熱をかけて流動させないと破断面が修復されない
・低分子で多数の水素結合を有するポリマーは、修復能力は高い一方、規則的な水素結合形成により結晶化し脆くなりやすい
新規性
「高い修復能力」かつ「強固さ」を両立する高分子ポリマーを開発した
キー技術、ポイント
・チオウレアの不規則的な水素結合により、アモルファス構造が形成され脆さを改善
・水素結合が組み変わることで、断面が再結合し自己修復機能が発現
・自己修復機能の駆動力が水素結合であるため、分子鎖が流動するような高温条件が必要ない